プリキュアオールスターズニューステージ感想文

今回もオールスターズを見てきたので早速感想です。例によって信じられないほど長いので、読みたくない人はまた来ていただいて結構です。
ネタバレだらけなのでその辺もご理解ください。
映画に関しては……一応肯定派です。(詳細は下記)

○コンセプト
はっきり言ってしまえばオールスターズとつける必要のない映画。
「劇場版スマイルプリキュア&スイートプリキュア〜未来の友達〜」というところです。
DXシリーズがプリキュアオールスターズという組織が作られる物語であるなら、今回はその組織としての仕事の一つを映画化したという感じです。
そもそもスマイルとスイート、主役であるキュアエコー以外はセリフがあってもほとんどいなくてもいい感じ。ハートキャッチもフレッシュも一応いるという程度です。

ライダーやウルトラマンの総出演映画を見てるから耐性はあるけれども、歴代の主人公達がモブ扱いというのはかなり堪えるものがありますね。特に5とSS目当てで行くと金返せレベル。

いや、笑い事じゃなくて。

スイートやスマイルが好きな人は結構楽しめると思います。私自身は第一印象としては悪くはなかったかなと思っています。
長くこのようなシリーズを続けていくのであれば、プリキュアが女の子一人のために戦う映画があってもいいんじゃないかなと思います。

でも、実際問題かなりネタバレされた状況で見に行っているので、そこまでのダメージは無かったのですが、前情報無しで行った場合相当厳しいでしょうね。

現状の生活でネタバレしない方が難しいのでこのようになってよかったかなと思っています。ネガティブな感想ほど目につきますし。初期5年のプリキュアにセリフが無いという事を知った時点では、オールスターズと言っているのに全員の声が無い事が想像できませんでした。
噂ではスマイルvsスイートのような戦隊モノのような映画にしようとしたが上からの圧力でオールスターズにせざる得なくなったとか言われていますが実際は不明。

自分は「二次元の女の子の日常描写」目当てにプリキュアを見ている人間なので、セリフが無いのではお目当ての物を見られないかもしれないと思いました。
見に行った結果あゆみちゃんというちゃんとしたキャラクターを見ることができてそこは回避できましたが。

ただ、5勢をあそこまで削って出したというのはよっぽどの理由があると思う。
彼女らに関しては秒単位の話だから、妖精のセリフを一つぐらい削ればもう少し映像を見せられたはずなのだけど。それをしないでオールスターですって商品を出すのにはリスクがあると思う。

この初期5年間を削ったことについては賛否両論あるみたいだけど、一応自分は肯定派。

否定したい人たちの考え方としてはわかる。サブターゲットにしている対象が20代から30代と設定しているなら、オールスターズで過去作品のプリキュアを活躍させることは求められていることの一つかもしれないってことは。現に過去三作品ではしっかりキャラを出していたしね。

ただ、メインターゲットに絞って考えた場合オールスターズとして過去のプリキュアが出ることがそこまで重要なのか?って気はする。増して去年まで3年間しっかりオールスターズをやっている記録媒体(DVD)が売っていればなおのこと。

だってウルトラマンとか仮面ライダーとか戦隊の全員集合で、正直食傷気味でしょ。
彼らの劇場版は先輩方ほど足を引っ張る。ウルトラマンに至っては既にウルトラ6兄弟が足を引っ張りまくっているという始末。ライダーもストロンがーとか役に立ってないしね。
これをプリキュアでやったらそれこそ非難轟々だろう。負けるはずのない初代や異次元戦闘可能な黒歴史、神となった5gogoの方々が敵の罠にはまって助けを待っているような作品が見たいかと言われれば疑問符がつく。

そういう型どおりの新人主役全員集合映画よりも、考えられた作品だと思うしある程度の世代交代は仕方ないと感じています。

 ここからは全くの予想ですが、今回のオールスターズは布石だと思うんですよね。次がありさえすれば何かしらのアクションがある。それは大友には全然関係のないものかもしれないし、大友歓喜なものになるのかわからないけど……。とにかく、まだオールスターズを見限るには早いかなと思いました。


○ストーリー
ここからはストーリーを追っていきたいと思います。
①横浜みなとみらいの街はプリキュアたちが、謎の怪物・フュージョンを倒したというニュースで持ちきり。プリキュアに憧れる女の子たちは、ポーズをマネして大ハシャギ。
②でも転校してきたばかりのあゆみは一人ぼっち。そんなあゆみは、学校の帰りに謎の生き物と出会う。あゆみはその子をフーちゃんと名づけ、すっかり仲良しになる。
③フーちゃんは闇の力を持つフュージョンのカケラで、友だちのいないあゆみのために、あゆみのキライなものをどんどん飲み込んで、学校や街をめちゃくちゃに。
④「こんなつもりじゃなかったのに……」あゆみの本当の気持ちを伝えるために、28人のプリキュアたちが、またまた大集結!みんなの力がひとつになった時、奇跡の光が輝く!!

「伝説の戦士プリキュア」からのオープニングは本当にいいMADです。
28人いればあのようなオープニングは仕方ないね。つーか、観覧車の上に乗ってるときにフレッシュの「誰かのために戦う力」がかかった時点で泣く。かっこよくて。

話としてはあゆみが主人公でプリキュアたちはヒーローとして登場するという話です。

坂上さんとフーちゃん。
アナちゃん!?アナちゃんじゃないか!
転校生っていう設定は今までもあったんだけど、今回は失敗パターンの転校でしたね。
実はプリキュアさんの世界では転校というシチュエーションは珍しくないレベル。

九条さんに始まり、美翔さん、美々野さん、東さん、花咲さん、黒川さん、星空さんと各シリーズには必ずある状況です。不思議な力を持っていた九条さん・美々野さん、既に関係者が混じっていた東さん・黒川さん。それ以外の3人はガチで情報もない転校生。ただ、彼女たちにはよい出会いがありました。多少ウザい人(来海)もいましたが、彼女らの出会いからプリキュアという物語が始まり、彼女たちは大きな成長を遂げることができました。

しかし、今回の坂上さんにはそのようなシチュエーションはありません。初日こそちやほやされるかもしれませんが、うまく輪に溶け込めないということも少なからずあると思います。というか、こういうことは現実にはよくあります。これが現実なんです。

あたりまえだが、あゆみちゃんの声が素人だったらこの映画本当に死んでた。能登さんの演技によって感動できる映画だった。声優の力はこういう局面で出てくるんだな。

フーちゃんは、初見で木の葉の下敷きになるところから、全部演技でやっているのかと思って勘ぐっていましたが、そんなこと1ミリもなくて純粋だったので助かりました。あゆみに向かって「お前を利用していただけだ」とか言い出したらトラウマ映画になるところだった。
でも、フーちゃんがお母さん消したあたりは若干怖い。「君が言ったんだよ?何もかもなくなればいいって」って直訳できる。画面も暗いしね。

人間体フーちゃんになった翌日のシーンは、あゆみが心底楽しそうでなにより。あゆみちゃんとフーちゃんの薄い本が厚くなるな……!!(こらw

最後の方のフーちゃんの「さびしくないか?つらくないか?」は非常に好きです。
単純に可愛いからというのもあるんだけど、あゆみの感情の機微をフーちゃんはちゃんと分かっていたんだなと感じたから。

スマイルプリキュア
新人ヒーローというわけでもないんだよね。別段、あゆみちゃんの処遇に困っているとかそういったヒーローとしての壁にぶつかったわけではないし。そういう意味では、今回の印象は前三作に比べたら薄かったかなとも思う。

ラブの精神力の弱さ、つぼみの実力の無さ、響の絆の弱さ……それらに比べるとスマイルさんたちは劇中で弱さを見せていないんですね。今回はそういうところを全く描かず、あゆみちゃんの事を中心に書き続けた。その辺はヒーローとしての新人プリキュアを出すならちょっと残念。

むしろ本編でメンバーが自然に見つかったことを考えるとビギンズナイト+オールスターズ的な話でもよかったんじゃないかなとも思う。

あゆみ・響・みゆきは結構声があったが、スマイルとスイートそれぞれのメンバーのセリフが少なく、この子はどうゆう人間なのかというセリフがあまりなかった。初めてのヒーロー経験というスマイルの描写か、一年間戦ってきて獲得したものをスイートが語るような描写かどちらかはほしかった。

一応触れておくが、スマイルの戦闘シーンについては特に違和感は無い。そもそも全く戦えなかったら、映画にならないし。戦う事を習得することを主眼に置いた映画にすると、流れがDX2と被ってくるからそれもできないし。
一般人にプリキュア5人で詰め寄るな。もっともらしい事をスマイル勢は言っているが、本編との齟齬が大きすぎて若干合ってない。特にここで変なのはみゆき。
「何か私たちに言いたい事、あるんじゃないの?」と言っているが、最初のシーンの貴方からどうしてこんな言葉が出てくるのかがさっぱりわからん。これじゃ夢原のぞみさんじゃないか。(普段はちゃらんぽらんなくせに、決めるときは決めやがって)

後半で初めてスマイル勢が人間らしいセリフを吐き始めた。みゆき以外だと、れいかとやよいがよく喋っていた。

○スイートプリキュア
先代プリキュアとして登場。言っていることはまっとうなのだが、最終回までスイートを見ていると終始非日常空間で戦っていた彼女たちに説得力が無いのが痛い。

相変わらずエレンと奏さんが空気wwどうしようもない。
この辺りはスイート44話47話の響の身ヒーローに覚醒状態が見えて嫌。

こういう流れにしてしまうと、この作品を見てこの子たちがどうゆう人間かを知ることは難しい。新規参入を狙うのであれば、せめて前後1作のキャラ説明ぐらいはあってもいいと思うが、徹底してあゆみの描写に終始していた。

「友達が悪い事をしたら〜」のくだり、エレンにひっかけているつもりだろうが、実際に心を替えるきっかけになったのはプリキュアの力では無くハミィの涙。
ガチバトルで友達を救いだしたプリキュア桃園ラブことキュアピーチ


○歴代の戦士たち
プリキュア前期5作品は映像としては存在するが、変身や台詞は全くない。このせいで以前のシリーズ目的で見に来ている人達にしては、悪夢のような作品。

ハートキャッチとフレッシュ登場。今更ながらハートキャッチもフレッシュも変身を見せるためなのだが、人間体で歩くのはかなり違和感。フレッシュがアカルン(瞬間移動)でハートキャッチと一緒に登場するとか、もう少しやり方があったんじゃないかと思わなくもない。
後は何で横浜にフレッシュやハートキャッチのモブがいるのかという事。普通いないだろ。

5GOGO勢、まさかの出演時間30秒未満。あれじゃ一瞬目を離しただけで終わりだよ。

○言い残したこと
とにかく、5以前のキャラクターたちの扱いに納得できるかどうかが全て。
これが受け入れられなければこの映画は最悪評価にならざるを得ない。

多分、この先もDXシリーズで出来上がったプリキュアオールスターズという組織が色々な困難に立ち向かうという流れになっていくのではないかと思われます。多分商業的に戦隊モノのvsシリーズと同じように放映中+前期放映を中心とした脚本にするつもりなんでしょう。それはそれで見たい気もします。

私的にはSS+フレッシュ+スイートの劇場版が見てみたいけど、そういう事を声高に言うようになったら子供番組を見る資格はないかなっていうのは感じています。
……現状スマイルに勢いがあるからこんな大人なセリフを吐けるんだけどさww

小説版は少しずつ違うところがある。実は一言だけブラックにセリフがある。
後半にプリキュアとの絡みがあるような描写がある。(後日談というかなんというか)
映画ではそこを全プリキュアの生足を使用するという、大胆過ぎる映像を放送しましたw

・遠くにいるときのキャラの描写がひどい。
対話シーンや独唱ではスマイル作が出無敵の力を誇る今作ですが、引きの画面になったときにキャラクターが雑になり過ぎてヤバいです。特にスイート4人があゆみに対して優しく諭す場面では、作画が崩れ過ぎていて感動が台無しでした。
他にも前半のスマイル勢のデフォルメになっているようでなっていない顔とか、そういったところも気になりました。

・プリートフォン
オールスターズ関連のおもちゃとして一番高価なプリートフォン。
出た当初は関連性のない電子ゲームかと思ったがどうやら少し違うようです。
今流行りのツイッターを28人のプリキュア達がおこなっていて、プレイヤーもそれに参加できるというものらしい。ネタ画像なんかでは上がってくるが、かなりマニアックなセリフも入っている様でそれなりに評価されています。
今回はあゆみが中心になっていて、今まであったプリキュア同士の友達づきあいという面は全くなくなってしまった。もしかしたら、この玩具は映画の補足的な意味もあったのかもしれません。