「スイートプリキュア総評」

さて、最終回も終わった事なのでスイートプリキュアの総評と行きたいわけですが……。

結論から言って1年間「微妙なもの」を見せられてしまったという気持ちが強いデス。
こんな事声を大にしていうのにはそれなりの理由があります。

☆主人公達に深みが無い
☆中学校生活があまりにもお粗末
☆世界観と敵との対立軸の設定変更
他にも探せばたくさんあると思いますが、とにかくこれまでのプリキュアと比較するとかなり低評価になってしまっています。

今回は大きく4つに分けて総評を書いていこうと思います。項目分けは次のとおり。
1:響と奏
2:追加戦士について
3:話の流れについて
4:個人的感想
必ずしも表題通りに語っていけるのかわかりませんが、まずは書き記してみます。

1:響と奏

響は前作のつぼみに続いて、初期の状況があまり思わしくないキャラクターです。
☆父親を嫌っている
☆母親は海外で暮らしている
☆親友と不仲
☆専従の部活動をしていない
☆頭もあまり良くない
☆スポーツの助っ人として色々な部活を渡り歩いているが、自分の本音を言えるような人間はあまりいない。

スタート地点はこういう状況でしたが、奏と仲直りをしてからは奏が精神的支柱になっている節が見受けられます。しかしながら、彼女単体では精神的にはかなり脆いです。

作中ではかなり早い段階で親とも仲を取り戻すことができたので、それ以降は特段響の成長と言う話は見受けられなくなり、中盤からはスポーツ万能と言う設定をかなぐり捨てて、ピアニストを目指すと言いだしました。特にシナリオに活かされることはありませんでしたが。

後半は物語の展開上、主人公として敵と対峙することが多くなり響固有の性格などは書き換えられ、敵を説教し味方を鼓舞する完全な優等生に収まってしまった感があります。

奏は歴代のホワイト家族の特徴を受け継ぎながらも、えりかのような独自性を出そうとしたように見受けられます。しかし結果的におしとやかそうなのは外見だけで、内面は全くしっかりしていないキャラクターになってしまったように感じます。

特に初期は精神的に追い詰められている響に対して心無いセリフをぶつけ続けた事が印象的です。この一件で奏の人気が下がってしまったのか、中盤以降は完全にストーリーの進行に巻き込まれていくだけのキャラクターになり、最終回まで個性が出るシーンが少なくなってしまったようです。

2:追加戦士について

・黒ミューズ
響と奏の相互理解が深まった頃に出てきた仮面をつけたプリキュアこのプリキュアの正体の為に、沢山の話とサブキャラクターが犠牲になりました。設定自体は悪くは無いと思いますが、サブキャラクターがほとんどこのためのミスリードに使われてしまったのがいただけなかったです。サブキャラクターも魅力的なキャラクターが多かっただけに、それが生かされなかったのは残念でした。

キュアビート(エレン)
元々はメイジャーランドの歌姫候補だったセイレーンだが、ハミィに王座を奪われたことにより嫉妬、弱っていたところをノイズの力でマイナーランドに取り込まれたという設定。
響と奏が黒ミューズの正体を探る物語と並行して、ハミィとセイレーンの関係性を描いた話も行われていました。並行して話を描いておきながら、セイレーンはプリキュアキュアビート)に覚醒。結局黒ミューズがセイレーンだったという説は消えてしまいました。

プリキュア加入後は調べの館に住み着き、なぜか響達と同じ学園に通う事になりました。この描写はフレッシュでのせつなの前例があるため、似たようなシチュエーションでもいいから理由づけをするべきだったように思いました。

・黄ミューズ(アコ)
黒ミューズの真の姿で、かなり初期の頃からプリキュアに覚醒していたようです。アコとメフィストの親子の絆を描いた話はよかったのですが、ミスリードの為の前半の対応と加入後の性格の差が大きかったことや、メイジャーランドの姫と言う設定が全く生かされなかったのは何故なのでしょうか。

個人的には黒ミューズをビート、黄ミューズは同時に覚醒したハミィと言う展開が一番物語を動かすにはいい設定だったと思ったのですが……。アコを入れつのであればもっと早くから4人揃えるべきでしたね。

3:話の流れについて

様々なサイトで言及されていますが、今回のスイートプリキュアは4部作であると感じています。そうでなければ、あのようなぶつ切りの展開にはならないからです。とりあえず、自分はこの4つに分けてみました。

1:響と奏の友情再生編
2:キュアミューズの正体を探れ(セイレーンとハミィの過去)
3:メフィスト復活(キュアミューズの正体)
4:最終決戦

2と3は重なり合っている部分もあるので、分けるのは難しいかもしれないが大体こんな感じです。どうやらスイートプリキュアでは1部毎に見せたい側面が完全に固定されていて、話の構成要素にならない人間は完全に省かれる傾向があるようです

最初こそ響と奏を描いていたが、後半では主人公達は隅に追いやられる展開が何度もありました。また、おおまかなストーリーの中で主人公たちの個性を発揮するというのがプリキュアっぽさと言うところがありましたが、今回は完全にプリキュアが状況説明係になっちゃってるのが問題。これによって個々のキャラクターの魅力が半減してしまいました。

4:個人的感想

これを1年間見てしまったのかと言う落胆が随所にあるというのが素直な感想ですね。

響と奏を最初に見たのは3話。響の音楽嫌いの理由を語るところでした。思えばあの時点で既におかしいという気がしていました。音楽のレベルが辻井伸行レベルじゃ一般庶民にはまったく理解できなかったのを覚えています。別にバンドなどをバカにしているわけではないけれど、まだバンドの方が音楽モチーフとしてわかりやすかったんじゃないかと思って見てました。

今回の主人公二人はかなり好きなデザインでした。いつ恋愛シュミレーションゲームに登場してもおかしくないビジュアルで、この二人がどのような物語を見せてくれるのか、またどのようなサブキャラクターが出てくるのかは本当に楽しみにしていました。

物語に違和感を感じ始めたのはかなり遅めで、エレンがプリキュアになってからでした。まずサブキャラクターが出てこなくなってきた事、そして主人公達が常に同じことを考えて行動しているところが変だなぁ……と思ってみていました。

それでも、アコがプリキュアになったときには大騒ぎしましたしメフィストとの絡みをやっているときは安心して見ていました。

ただ、最終回に近付くにつれ主人公達の個性がどんどん薄れていって、最後には状況に応じたセリフを喋っているだけになってしまった時は本当に見ていて悲しかったです。

最終回が終わったとき、腹いせに最初の1〜6話までを借りてきて見ていたのですが、設定が成り立っていない事を除けば当時の方が響と奏でが生き生きしているように思えました。

色々なところで今回のプリキュアは設定変更を余儀なくされたと聞きます。一説では地震が……と言う事ですが、自分は南野奏さんが原因かな〜、などと思っていました。
その辺の理由などは追々話せればと思います。