スタートウィンクルプリキュア論評

一年間で約50話あるアニメシリーズにおいて、惰性で見始め、惰性で全てのエピソードを見る。果たしてそれは惰性と言えるのかどうか。おそらくそれは惰性とは呼ばないのだろう。
しかし、このシリーズに関してはある程度の感情の起伏はあれ、本当に惰性のまま一年間約50話をエンディングまで見てしまった個人的にはかなり珍しい作品となった。

 

まず本作は宇宙を舞台にしている。これは魔法つかいプリキュアの背景に近い。ただし、基本的には中学二年生という設定上物語は宇宙旅行スナック感覚で行き、目的を達成していくという流れになる。その中で異なる星々の価値観や文化、容姿や言語とどう向き合っていくかという問いかけが度々行われる。これは現在の地球上においても共通する構成かつ分かりやすさはあったと思う。

前作がとにかくたくさんの要素を詰め込みすぎていたというのもあるが、一転して今作は言葉には形容しがたい決定的な何かが欠けていたように感じる。
プリキュアに変身した女の子たちが宇宙を旅して、悪の組織と戦って宇宙を守る。今までにない斬新な設定にも関わらず、それに新鮮さを感じず漫然と見てしまっていた自分がいる。
その理由を知りたくて結局こうやって思考を出力して纏めてみるが明確な答えはない。

いや、「自分の理想の要素が全然無かった」という理由もあるにはある。
それは個人的な理由であって、それだけが全てだったとも思えない。何故ならプリキュアは50話あるからだ。その中で何も見つけられないというのはもう異常事態だ。
さて困った……。なにかないか……。

プルンス……そうだ、プルンス……。劇中での彼の扱いが個人的にはあんまりなのではないかと思っている……思っているんだ……そうだ、そう思おう。
でない称賛にせよ批判にせよ文章が成り立たない。

 

たしか彼は第一話目からララの宇宙船に乗ってフワを世話しながらスターカラーペン及びプリキュアを求めてやってきた。視聴者(星奈)に、基本的なこの世界観の説明やなぜプリキュアが必要なのかの説明も彼がしていた。

面子がそろってくると今度は宇宙アイドル「マオ」の熱烈な支持者であることが判明し、キュアコスモ加入後は学校生活を送る残りのメンバーを待ってる間はユニ(コスモ=マオ)とフワと過ごす時間が多く宇宙船でお留守番を務めていた。

最終決戦前には元々の役職が『スターパレスのプリンセスたちの従者の一族』であることが判明して、以後の時間でもその役職に従事している……というのが大まかなプルンスの立ち位置だったわけだが……。

やっぱりどこか地に足ついていないというかその場に応じたコマの動かし方をしているだけという印象が頭からぬぐい切れない。

のめり込めなかった理由として言語化するならはプルンスに限らず、ほとんどのキャラがただ漫然とプリキュアになって宇宙旅行をして悩みを解決して……っていう適当さがいやに目についた。

劇中結構しっかり話数を割いて掘り下げていたまどか先輩もエンディングで唐突に宇宙開発局の局長になっていて割とガッカリしてしまった。ユニも前半の盛り上げが嘘のように後半失速した。(騙すことを悪と描いてしまったのでマオやバケニャーンは存在そのものが否定されてしまった形になっていたし)


最終的に視聴者のイマジネーションに委ねた終わり方をするのであれは、そうしますよって事をもっとよく説明してくれないとあれじゃあんまり伝わってこない。


手厳しい感想になってしまったが次作はモブみたいなキャラクターが主人公ということで実は少し期待している(期待は失望を二乗する)